ようこそ、赤ちゃん。

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  1. 私は飛行機に乗るのが苦手だ。独特の匂い、気圧の変化、食事、やたら勢いよく水を吸い込むトイレ、座席の座り心地、そこから見える景色、圧迫感、あらゆるものが得意ではない。得意になりたいけど、実際得意ではない。昔はゲボゲボ吐いていたけど、最近はなんとか我慢できるようになった。それでも、やっぱりウっと気持ち悪くなることが多い。そんな中、機内で赤ちゃんに出会った。よく泣く子だった。お母さんは真剣な顔で座席を立ったり座ったりして、赤ちゃんをあやす。他の乗客の顔までは見えないけど、ブイーンという飛行機が飛ぶ低い音の次に、その泣き声は機内に響いていた。
    私はその泣き声を聞きながら、心の底からホッとした。ちょうどその時、私は気持ち悪くて、今何か飲み食いしたらアカンというくらいの気持ちだった。赤ちゃんの泣き声は、私の五臓六腑に染み渡ってゆく。気持ち良かった。なんなら、少し気分が良くなったくらいだ。私だって、心持ちだけで言えば泣きたい。でも涙は出ない。泣いたってしょうがないからだ。でも、赤ちゃんは泣く。わんさか泣く。気圧の変化が気になったのか、お腹が空いたのか、いつもと違う場所に閉じ込められて違和感があるのか、なんで泣いているのかは、さっぱりわからない。でも、私は「私の代わりに泣いてくれてありがとう」と思った。勝手な感謝かもしれないが、私はすこし救われたのだ。