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性欲という幻想とレイプ犯罪

学ぶ 斬る 考える

 

セックス神話解体新書 (ちくま文庫)

セックス神話解体新書 (ちくま文庫)

 

 「男は女よりも性欲が強い」

それは誰が調べたんでしょうか。

どうやって調べるのでしょうか。

科学的根拠はあるのでしょうか。

性欲ってどのようにして定義するのでしょうか。

性欲って、何を基準にして強い・弱いが決定付けられるのでしょうか。

性欲が強いからって、だからなんなんですか?

 

小倉千加子さんのセックス神話解体新書を読んでいて、自分が今まで信じ込まされていた神話をいくつも発見した。性欲の話はその中のひとつ。

レイプ・性的暴行のニュースは度々テレビで取り上げられる。

なぜか女性の容姿や年齢が公開されて、挙句の果てには「女性にも落ち度があった」と報道されることもある。

「色気を振りまいていたんではないか」「誘ったのは女性のほうなんじゃないか」。

その一方で、男性はどうかというと

「性欲を我慢できなかった」「欲求にしたがってしまった」などと言う。

男性の場合、性欲というイデオロギーによって、その犯罪の根拠付け自体が完了する。

性欲。生まれもった生物としての欲求。そればかりは逆らえない。しょうがないんだよといわんばかり。

女性は、男性からー性欲という本能に従って狩りをする獣たちからー身を守らなくてはならない。そのためには、人通りの少ない場所を出歩いてはいけないし、夜は外に出たりしてはいけない。女性はその防ぎようのない自然災害を、自ら防がないといけない。それができないなら、レイプは女性の責任だ。

・・・

そんなわけ、あるはずないだろう。

小倉さんは、過去の研究を引用しながら、性的暴行の加害者となった男性(加害者がすべて男性とは限らないが、ここでは男性の話に焦点を絞る)の特徴を語った。

彼らは

・加害者は、性的欲求を満たすためではなく、男性性の強さを確認するために犯罪を犯す。

・加害者は衝動的ではなく、彼らの多くが予め計画を十分に練ってから犯行に及ぶ。

・加害者の多くは、被害者の年齢や容姿に関係なく犯行に及ぶ。また、性的暴行の被害者は老人、障碍者など身体になんらかの不自由のある人の割合が多い。

・加害者は赤の他人よりも、被害者の近親者であることが多い。

(著書出版1995年当時の情報による)

これらの情報を統合すると、性的暴行という犯罪をこれまで根拠付けてきた「男性は女性よりも性欲が強い」というイデオロギーでっちあげられたものであったことがわかる。嘘なのだ。その嘘に翻弄されて、人生を台無しにした被害者女性も、たくさんいる。それが悲しい。

ジェンダーを勉強していると、世の中にはびこっている嘘や、現実を見る。

それらに、いかに自分たちが翻弄されているのかも知る。

ジェンダーは幻想ではない。

現実の、あらゆる理不尽、困難、苦しみを打破するための論理武装だ。

それを知っているからこそ、もっと学んで、現実に、困難を抱える、できるだけ多くの人々に、この武器を届けたいと心の底から思うのである。